JLPGA寺沢範美副会長

毎年、男子メジャートーナメントの舞台となる宍戸ヒルズカントリークラブで、今年は女子ステップ・アップ・ツアー「宍戸ヒルズレディース 森ビルカップ」を10月26日～28日に開催します。
渋野日向子選手などもプロ入り直後は出場して腕を磨いてきたステップ・アップ・ツアーの魅力について、JLPGA寺沢範美副会長に聞きました。

将来のスターを見つける楽しみがある

▼ステップ・アップ・ツアーは、どんなツアーなのでしょうか？

レギュラーツアーの出場権を持たない選手たちの育成と強化を目的にしたツアーで1991年にスタートしました。前年度にプロテストに合格した新人や、レギュラーの出場権を持たない選手、つまり新人や若手と再起を図る選手の両方の強化を目的としております。
ロレックスランキング（世界ランキング）の対象ツアーにもなっています。

▼ステップ・アップ・ツアーならではの面白さはありますか？

渋野日向子さんや河本結さんも以前はステップ・アップ・ツアーに出場していたのですが、将来のスーパースターが出てくることですね。

▼ギャラリーの方々も「将来のスターを見つける楽しみがある」とおっしゃっていました。

現地で観戦いただくのはもちろんですが、テレビのスカイAで長時間ライブ放送していただいていることもあり、将来伸びそうな選手を探すという楽しみ方もあると思います。

▼今年も前半はステップ・アップ・ツアーに出ていた岩井千怜選手が、8月にレギュラーツアーで連勝をしましたが、毎年新たなスターが出てきますね。

本当にすごいことだと思います。
今のステップ・アップ・ツアーの賞金ランキングを見ると、トップ3が昨年プロテストに合格した新人なんです（2022年8月26日更新時点）。次から次へと新たな強豪が出てきているんです。まさに群雄割拠で誰が勝ってもおかしくない。見ていても本当に技術も高いですし、面白いツアーだと思います。
また、最近の新人はゴルフがしっかりしているだけでなく度胸もあるんです。狭き門と言われるプロテストを突破してきたり、ステップ・アップ・ツアーでもハイレベルな戦いで鍛えられていることが大きいと思います。

賞金レースが拮抗。
熾烈な戦いが予想

▼10月下旬に開催される宍戸ヒルズレディースの見どころは？

年間17試合開催されますが、宍戸ヒルズレディースを入れて残り3試合となります。ここで優勝したり上位に入れば、賞金ランキングに大きな影響を与えます。年間賞金ランキングの上位2名が次の年のレギュラーツアーの前半戦に出られる権利を得ることができ、また賞金ランキングで10位に入るとクォリファイングトーナメントの1st STAGEが免除され、Final STAGEに進めば、ほとんどのステップ・アップ・ツアーに出場できます。今年は8月末時点で複数回優勝している選手がおらず、賞金ランキングの上位争いは拮抗しているので、宍戸ヒルズレディースでは熾烈な戦いになると思います。

▼開催コースの宍戸ヒルズカントリー（東コース）の感想は？

久しぶりに伺いましたが、ものすごく木を伐採されてすっきりした印象になりましたね。林間コースなので木にセパレートされていて各ホールが独立していて、その部分は残しつつも本当にすっきりと見やすくなったという印象です。

▼特に印象に残ったホールはありますか？

やはり18番ホールですね。360ヤードなので距離はそんなには長くないですが、グリーンからの逆算で攻めなければならないと思います。3日間ありますから、だんだん難しいところにピンを切りますので、そのピンからの逆算でどこにセカンドを置くかという戦略ですね。ティーショットで距離を稼ぎ、2打目はショートアイアンで行くのか、または違う攻め方なのか？ 順位など自分の置かれている位置によっても変わってきそうですね。
18番以外でも、かなりマネジメント力が試されるホールが多いと思います。

▼ステップ・アップ・ツアーとレギュラーツアーでセッティングに違いはあるのですか？

グリーンの速さなどはレギュラーツアーと同じ依頼をゴルフ場さんにはしています。一緒にしないとツアー強化というところに結びつかないですからね。10月のベストシーズンということもあり、宍戸ヒルズカントリークラブ（東コース）のコンディションはかなりいいと思いますよ。レギュラーツアーに匹敵すると思います。

▼戦い自体もレギュラーツアーに匹敵するものになりそうですか？

はい。我々も見ていていつもワクワクなんです。次から次へと新たな勝者が出てくるのですから。

特に宍戸ヒルズレディースはシーズンの終盤戦。来年の1年間の仕事がかかっているので選手は必死です。手に汗握る素晴らしい戦いを見せてくれると思います。