日本一のゴルフ場を目指して

森ビルゴルフリゾート株式会社 代表取締役社長 多田野 敬
日本一のゴルフ場を目指して
宍戸ヒルズカントリークラブ、静ヒルズカントリークラブが近年成し遂げていること、
そして今後はどのような未来を描いているのでしょうか?
その舵を取る森ビルゴルフリゾート株式会社の多田野 敬社長に話を聞きました。
徹底した会員本位の運営にシフトし、週刊ダイヤモンドで全国3位の評価。
女性ゴルファーにも愛されるゴルフ場へ
▼2016年の社長就任以来、どのような思いで経営に取り組んでこられましたか
私が社長に就任した際、全スタッフに「日本一のゴルフ場を目指す」と宣言しました。この目標に向かって、スタッフ全員で一丸となって取り組んできました。特に重視したのが会員本位の運営です。
以前は売上重視でビジターを多く受け入れていました。しかし、その結果コースは傷み、スタッフは疲弊し、サービスの質も低下していました。待ち時間が増え、昼食に2時間かかることもあり、会員の方々が離れていく状況を目の当たりにしました。
そこで、私は会員重視の運営へと大きく舵を切りました。会員の皆様がいつ来ても快適にプレーできる環境を整えることが何より大切だと考えたからです。
▼その成果はいかがでしょうか
土日の会員比率は宍戸ヒルズで72%、静ヒルズで43%まで上がりました。売上は一時的に減少しましたが、ビジターの受け入れを抑えながら、質の高い運営を徹底してきました。
宍戸ヒルズにおきましては、昨年の週刊ダイヤモンド誌「プレーして良かったゴルフ場ランキング」で全国3位に入りました。日本一のゴルフ場に近づいているという手応えを感じています。
▼女性ゴルファーも利用しやすいゴルフ場を目指していると伺いました
女性用浴室の脱衣所の改修など、女性ゴルファーに対してのホスピタリティの向上に努めています。また、女性総務委員の方々の意見を積極的に取り入れ、女性がより楽しめる環境づくりを進めています。今後は女性浴室の更なる大規模改修も検討しております。また、女性向けイベントの開催や新しいリゾート施設の企画も進行中です。これらの取り組みによって、女性ゴルファーにも愛されるゴルフ場を目指しています。
コースコンディションで高評価。
施設面でも他のゴルフ場にはない魅力を追求
▼会員の皆様からの評価はどうですか
会員の方々からは主に3つの点で高い評価をいただいています。
まず一番多いのが、コースコンディションです。この2年、夏の厳しい暑さの影響で多くのゴルフ場ではコースが荒れてしまいましたが、宍戸ヒルズ、静ヒルズではグリーンやフェアウェイの高いクオリティを維持できました。これは、日々の準備とスタッフの努力の賜物です。
次に、キャディの質の高さです。教育が行き届いていて、一生懸命なキャディが多いとの評価をいただいています。
最後に、食事の質です。「コースは良いのに食事が今一つ」というゴルフ場が少なくない中、食事面でも高い評価を得ています。
▼コースコンディションが維持できている理由を教えてください
いち早く自動芝刈り機を導入するなど、環境の変化に対応するための施策を積極的に実施しています。これにより、厳しい気象条件下でもコースコンディションを維持できています。
マスターズを開催するオーガスタナショナルゴルフクラブには毎年のように伺っていますが、いつも感動するのはコースのメンテナンスの素晴らしさです。宍戸ヒルズ、静ヒルズも、メンテナンスの行き届いたコースにすることを目指しています。
▼施設面にもこだわっているとお聞きしました
他のゴルフ場にない魅力的な施設作りを心がけています。特に練習環境の充実には力を入れており、プロ選手からも高い評価を受けています。
また、宍戸ヒルズでは、一般的なゴルフ場のお風呂のレベルをはるかに超える本格的なスパ施設を備えています。初めて訪れたお客様からは、「ゴルフ場でこんなスパがあるのか」と驚かれることもあります。
静ヒルズでは、リゾートゴルフの魅力を存分に楽しめる環境を整えています。美味しい食事を味わいながらリラックスできるNO NAME CAFÉや大自然の中で楽しめるバーベキュー施設を完備し、ゴルフプレーだけでなく、豊かな時間を共有できる特別な体験を提供しています。
また細かいところでは、クラブハウスに入った時の香りにもこだわっています。高級ホテルと同じフレグランスを使用し、非日常の環境づくりを心がけています。
トーナメントの開催により高いクオリティのコースを実現。
地域との共生も重視
▼プロゴルフトーナメントを開催する意義を教えていただけますか?
日本ゴルフツアー選手権は、他のメジャー大会と異なり、会場が毎年変わることなく同じコースで開催されるため、長期的な視点でコースの改良に取り組めるという大きな特徴があります。この連続開催によって、コース自体が進化を遂げ、より高いクオリティが実現されています。また、メジャー大会の開催は、ゴルフ場スタッフのモチベーション向上にもつながっています。
継続的にメジャーを開催することで、プロゴルファーには、世界で戦える選手を輩出するための挑戦しがいのあるコースを提供しています。一方で、会員の皆様には、国内メジャー大会レベルのハイスタンダードなコースコンディションを日常的に楽しんでいただいています。
静ヒルズでも、2021年に国内女子メジャーの日本女子プロゴルフ選手権の会場となり、女子のステップ・アップ・ツアーを定期的に開催しています。これにより、コースのさらなる進化が図られ、その成果を会員の皆様にも実感していただいていることと思います。
▼地域貢献についても積極的に取り組まれています
地域との共生は重要なテーマです。現在、森ビルゴルフリゾートは笠間市と「まちづくり協定」を結んでおり、森ビルグループの街づくりのノウハウを活かして様々な取り組みを実施しております。その中の一つとして、日本ゴルフツアー選手権開催時には、スポーツ&フードフェスを開催することでゴルフをしない地域住民の方にもゴルフトーナメントという“お祭り”を楽しんでいただいています。
その他にも、中嶋常幸プロ主宰のジュニアゴルファー育成プログラムやスナックゴルフを地域の小学校に無償で提供することなどにより、青少年の健全育成にも貢献しています。将来的にはゴルファーとなって、宍戸ヒルズ、静ヒルズに戻ってきていただければと思っています。
長期滞在など日本にはあまりない自由でゆったりしたゴルフリゾートを目指す!
▼今後の展望についてお聞かせください
もっとゆったりとしたゴルフライフを提供していきたいと考えています。日本のゴルフ場は、どうしても『来て、打って、すぐに帰る』というスタイルが一般的ですが、せっかくゴルフ場に足を運ぶのなら、時間を気にせずリラックスして楽しんでいただきたいです。
宍戸ヒルズには36ホールがあり、宿泊して両コースをじっくり回るような、本格的なリゾートとしての魅力をさらに高めていきます。また、静ヒルズには現在ホテルがありますが、施設が古くなってきているため、再整備を進め、より快適に過ごせる環境を整えていく計画です。
最近では、リモートワークプランやキャンププランを利用し、ゴルフを楽しむだけでなく、静ヒルズで仕事や家族との時間を充実させるお客様も増えています。そうしたニーズに応えるため、今後も新たなプランを企画していきます。
また、温泉の導入も検討しています。日本人にとって、温泉は癒しの場として特別な存在です。ゴルフを楽しんだ後、温泉でリラックスできる体験が提供できれば、多くの方に喜んでいただけるでしょう。ただし、温泉の導入には課題も多く、慎重に検討を進めている段階です。
将来的には、宍戸ヒルズと静ヒルズでの滞在を、単なるゴルフプレーだけではなく、特別な時間を過ごせる場にしたいと考えています。たとえば、ゴルフ好きのご夫婦やリタイア後のシニア層が長期滞在できるロッジやビレッジのような施設も構想中です。朝はゴルフカートでティーイングエリアに向かいプレーを楽しみ、午後はクラブハウスで食事をするという、ゆったりとしたライフスタイルを提案したいと考えています。
宍戸ヒルズと静ヒルズでの滞在が、単なるゴルフプレーの場にとどまらず、人生を豊かにする時間となるような場所を目指しています。
▼国際展開についてはいかがですか
現在、宍戸ヒルズは世界的に有名なシンガポールアイランドカントリークラブと提携しています。今後はさらに海外のゴルフ場との提携を増やし、会員の皆様のゴルフライフの幅を広げるとともに、当クラブの国際的な知名度を高めていく計画です。
▼最後に、これからの目標についてお聞かせください
プロゴルファーにとっては難易度の高いコース、アマチュアゴルファーにとってはワクワクするようなコースを提供し、さらに充実した施設とサービスで総合的な魅力を高めていきたいと考えています。
ゴルフは生きがいであり、活力の源となる素晴らしいスポーツです。これからも、皆様に愛されるゴルフ場であり続けるよう、スタッフ一同努力を重ねてまいります。
宍戸ヒルズ、静ヒルズについて語る多田野 敬社長