ゴルフ場は地域資源でもあり、 地方創生の拠点になり得る
茨城県笠間市長の山口伸樹(やまぐち しんじゅ)氏
ゴルフ場は地域資源でもあり、地方創生の拠点になり得る
笠間市 山口伸樹市長
「BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」と、同時開催される
「かさまスポーツ&フードフェス」は、開催地・笠間市にとってどんな存在なのか。
これらのイベントが地域にもたらす効果や貢献についてお伺いしました。
ゴルフ場は地方創生につながる地域資源
▼笠間市は「ゴルフのまち」である理由
ゴルフ場はゴルファーだけのものでも、ゴルフ場だけのものでもなく、地域資源だという思いを持っています。その地域資源を活用させてもらいながら、地域おこし、地方創生につながればというのが基本的な考えです。
▼具体的な効果
笠間市にはゴルフ場が9つあります。年間、何十万人というお客さんが来ています。ゴルフ場はある意味で観光施設であり、お土産を買っていただくなどの経済的な効果や、さまざまな波及効果もあると思います。
例えば日本ゴルフツアー選手権は22回開催していただいていますが、宿泊やお土産、タクシーやバスの需要、さらにはスポーツフェスの実施などの経済効果があります。普段のゴルフ場営業の中でも、同様の効果はあると思っています。
▼「BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」は、笠間市にとってどのような大会?
6月の最初の週になると、「今週末は選手権が開かれるんだ」というのが市民生活の中に浸透してきています。いろいろな経済効果や波及効果があるので、関わっている方々やゴルフをやらない方も、この大会への認識が深まってきています。継続して開催いただけるというのは非常にありがたいです。
市民の中に浸透してきたスポーツ&フードフェス
▼今年の「かさまスポーツ&フードフェス」では過去最多の8,501名が来場
(ゴルフトーナメントで)この規模のイベントは全国的にも例がないと思います。以前「グリーンフェスタかさま」を開催したつながりから、内容をバージョンアップし、今年で3回目になります。
普段ゴルフ場に来ていない皆さんも足を運んでくれて、ゴルフ場の大自然を味わっていただいています。ゴルフをやる・やらないに関係なく、ゴルフ場に足を運ぶことでその素晴らしさを体験できるという効果は大きいと思います。年々、市民の中にも浸透してきていて、存在感が出てきていると感じます。
▼スポーツでは今年は9種目、笠間市のプロチームであるバスケと野球の選手にも協力いただいた
笠間市の主たる取り組みの一つとして、観光に合わせてスポーツによるまちづくりという大きな目標を掲げています。最近の代表的なものでは、スケートボードパークができたり、ブレイキン(ブレイクダンス)など、アーバンスポーツ系にウェイトを置いて施設整備を進めています。
数年前にアーバンスポーツのイベントを開催したのですが、そのイベントだけではお客さんが集まらないという課題がありました。スポーツ&フードフェスでは日本ゴルフツアー選手権に合わせて行うことで、より大きな集客力があると思いますし、食(フード)と一体でやることで楽しみも倍増していると思います。
▼今年はキッチンカーが20店舗出店
規模が大きくなり、お客さんも増えてきて、「ぜひ参加したい」という飲食関連の事業者が増えています。事業者からすると売り上げが見込めるということだと思います。
自然の中で一定の時間を過ごしながら、アーバンスポーツを体験したり、食事を楽しめることは素晴らしいことです。
スポーツだけでなく、食と組み合わせて企画しているところがスポーツ&フードフェスの魅力だと思います。
▼来年以降さらにやりたいこと
全体の面積確保の問題などはありますが、できればアーバン系スポーツをもっと増やし、規模や参加者を引き続き拡大していければと思っています。
▼3年連続で花火が打ち上げられた効果
3回も開催していただいているので、かなり浸透してきました。ゴルフの大会に合わせて花火が上がることが浸透してきたことで、日本ゴルフツアー選手権の認知度もさらに深まったと思います。
ゴルフ場で花火を上げること自体珍しいですし、ゴルフ場でさまざまなイベントやエンターテイメントを行うことは新鮮味があり、人気の理由だと思います。普段立ち入れない場所でスポーツや食を楽しみ、最後は花火で締めくくるという、その一日の充実感は大きいと思います。
▼フェスに参加された方々の満足度が高かったことについて
全国の他のゴルフ場にも、このようなイベントは今後広がっていくのではないかと思います。ゴルフ場は、展開の仕方によって、地方創生の拠点になり得る地域資源だと思います。この地域資源をどのように活かしていくかを、ゴルフ場側と協議を重ねていけば、さらに大きな広がりが生まれるのではないかと考えています。
スナッグゴルフは子供たちの成長に加えて高齢者のやりがいも創出
▼スナッグゴルフについて
スナッグゴルフが笠間市の全ての小学校でここまで地域に根付いたのはすごいことだと思います。地域のゴルフ好きの方々が指導者となり、子どもや保護者とのコミュニティができています。各学校が練習に励み、競争することで、全国大会で金(1位)、銀(2位)、銅(3位)を独占するまでの実績を上げられるようになりました。
これは日本のゴルフの底辺拡大のモデルケースだと思います。このスナッグゴルフを始める自治体やゴルフ場が全国的に増えれば、競争が活発化し、レベルが上がって、ゴルフを目指す人も増えると思います。
▼地域ボランティアの存在については
地域のボランティアの方々は非常に熱心です。高齢の方もいますが、やりがいになっています。自分の孫やひ孫のような子どもたちと触れ合う楽しさもあります。
日本ゴルフツアー選手権の3日目に、今年も実施した「スナッグゴルフ対抗戦 茨城予選会 森ビルカップ」で、スナッグゴルフの地域ボランティアの方々の表彰を行ったのですが、誇らしげな姿や泣いている方もいました。指導者と子どもたちの信頼関係も強くなっています。
▼スナッグゴルフでさらにやっていきたいこと
全国大会の茨城予選会ですので、あと4、5校ぐらい参加が増えると茨城県の中での地域間競争や、スナッグゴルフを通じたつながりが深まっていくと思います。ぜひ、他の自治体でもスナッグゴルフに取り組んでいただきたいと思います。
表彰式での山口市長(左)