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静ヒルズレディース 森ビルカップ コースセッティング担当の山崎千佳代プロにインタビュー
技術、マネジメント力、メンタルの強さなどすべてか求められる
メジャー(日本女子プロゴルフ選手権)を開催するのに相応しいコース
関係者とともにコース視察をする山崎千佳代プロ
4回目となる静ヒルズレディース 森ビルカップが5月13日~15日に開催される。開幕に向けての準備は着々と進んでおり、2月にはJLPGA(一般社団法人日本女子プロゴルフ協会)のコース視察が行われた。
今年コースセッティングを担当するのは、第1回、第2回も担当した山崎千佳代プロ。山崎プロに今年のセッティングについてだけでなく、ステップ・アップ・ツアーの魅力や、静ヒルズカントリークラブについて聞いた。
【プロフィール】
ヤマザキ チカヨ/レギュラーツアー8勝。
1990年には年間3勝をあげ、賞金ランキング7位に入る。
現在はテレビのトーナメント中継の解説者としても活躍中。
より積極的に攻めてもらうセッティングを意識!
例年以上の好スコアを期待!!
▼今年のコース視察は終えてみての感想
フェアウェイ、グリーンだけではなく、18番ホールの林帯の伐採や剪定をしているなど、今年の静ヒルズレディースだけでなく、来年の日本女子プロゴルフ選手権大会に向けて準備をしてくださっていると感じました。コースのメンテナンスにおいても、今この時期にでも十分な水準となっているので、トーナメント開催時はより楽しみなコースセッティングになるんじゃないかなと思います。
▼今年はどんなセッティングにしますか?
選手がより積極的に攻めたくなるセッティングにしていきたいです。1年目は、6、7、8番アイアンくらいで積極的にピンを狙っていくセッティングでしたが、出場選手の技量もどんどん上がっており、またユーティリティークラブの精度も上がっていることを受け、4年目となる今年は1年目の6、7、8番アイアンに加えユーティリティーに対してもスピンコントロールの精度を求めるようなセッティングにしたいと思います。
▼様々な番手でピンを狙ってもらう?
より積極的に攻めることができる分、今まで選手が知覚していなかった新たな罠も出てきますし、そのあたりのより深いところでのコースマネージメントを選手には期待したいと思います。
▼ギャラリーやテレビ観戦をするファンに、是非みていただきたいホールはありますか?
静ヒルズは1ホール1ホール特徴があるので選ぶのが難しいのですが、やはり上がり3ホールの16番、17番、18番はキーホールだと思います。毎年、天候が悪くなったり、風が強くなった際に選手が苦しむ場面が多いです。
スコア伸ばしあいの優勝争いを選手達が演じ、最終ホールでバーディ決着 みたいな試合展開を思い浮かべながらコースセッティングをしていきたいと思います。
なお、テレビ中継対象外の短めの15番のパー3は非常にきれいなホールですね。
▼15番(Par3)はマスターズが開催されるオーガスタナショナルGCの12番ホールをイメージさせるホールですね
そうですね。そんなような雰囲気が非常にありますね。インコースの後半は、池が絡んでいるところが多いので、見ていただいても本当にきれいだと思います。
▼今年の予想優勝スコアは?
※過去の優勝スコアは第1回4アンダー、第2回3アンダー、第3回も4アンダー
昨年はヌック・スカパン選手がロケットスタートを決めてどんどんスコアを伸ばして驚きましたが、最終日は苦しんで結局4アンダーでした。今日、下見をしながら関係者と話したのですが、5アンダー以上は出してもらいたいです。できれば1日2アンダー平均くらいで、5アンダーか6アンダーくらい。それ以上のスコアがどんどん出ることも期待しています。
▼バーディ合戦を期待?
静ヒルズではバーディ合戦まではいかないと思います。やっぱり守るべきところを守って、取るべきところ取ってというメリハリが必要なコースです。毎年テレビ解説でも言っておりますが、9番と10番のパー5を3日間でいくつ伸ばせるかというのがまずは1つのキーポイントだと思います。
コース関係者とも打ち合わせ。左は長峰全プロ
ステップ・アップ・ツアーの魅力の一つは
ネクストヒロインを探すこと
▼ギャラリーが年々増えていますが、改めてステップ・アップ・ツアーならではの魅力を教えていただけますか?
若手が中心ですがベテラン選手も活躍したり、色々なカテゴリーの選手が出場していること、そして何と言っても本当にここから世界にステップアップしていく選手が存在するということです。この2年、3年くらいで言えば、例えば、河本結さん、原英莉花さんとかが確実にこのステップ・アップ・ツアーで成績を残して、レギュラーツアーや世界へつなげていっています。
QTでなかなかうまくいかなくて、今季はこのステップから出ていく若手、新人選手もいます。ステップと言えども実力のある選手がたくさんいるので、そういう選手に注目し、ネクストヒロインが誰なのかを探す楽しさ、面白さ、また選手から見れば自分のコアなファンができる楽しさ、そんなところがステップ・アップ・ツアーならではの楽しみですよね。
▼この大会でも第2回大会優勝の安田彩乃選手や昨年の第3回大会優勝のヌック・スカパン選手が、今年はレギュラーツアーでの出場権を得ています。歴代優勝者は確実にステップアップをしているかと思いますが、選手は静ヒルズカントリークラブでどんな風に鍛えられているのでしょうか?
静ヒルズはグリーンも硬くて速いですし、難しいピンポジションが続くので色々なスキルが求められますが、パッティングにしっかりした技術がないとスコアにつながらないと思います。そして取るところをとって守るべきところ守っていくコースマネージメント、言い換えるとセルフコントロールとタフなメンタルが必要です。
そんな静ヒルズは2020年の最終プロテストの会場ですし、2021年は日本女子プロ選手権大会を開催コースですから、ここで上位争いするということは選手のキャリアの中で自信につながる経験になると思います。
静ヒルズは選手の挑戦意欲を掻き立てるコース。
しっかりした技術がないと結果につながらない
▼今おっしゃってくださったように、来年は日本女子プロ選手権の開催コースとなりました。あらためて中嶋常幸さんが設計監修されている静ヒルズカントリークラブの魅力を話していただけますか?
一言で言うと、「ゴルフの要素の全て求められるコース」というのが魅力だと思います。ティーショットの精度、スピンコントロール、ラフからのアプローチの技術、グリーンもいろんな起伏があるので、ピンポジションに対してスピンをかけるのか上げるのかなど様々な要素が求められます。繰り返しになりますが、集中力を切らさないで結果につなげていくメンタルのタフさも必要です。結果が出なかったら、選手は努力してこの次はここを攻略しようというような欲も出てくる挑戦意欲を掻き立てられるようなコースだと思います。
▼ギャラリーも選手のすべてが試されているコースなんだという意識で見ると、本当に強い選手が見えてきそうですね
その通りですね。持っている選手の実力がそのまま出てくるコースだと思うので、その週、その時期に調子がいいだけではなくて、やっぱりしっかりした技術がないとなかなか結果につながらないコースなのかなと思います。
視察ではコースの様々な箇所をチェックしていた
自分の距離にあったティーからラウンドすれば
アマチュアでも静ヒルズの面白さを堪能できる
▼一般アマチュアゴルファーが、静ヒルズをラウンドするときのアドバイスをお願いします
各ホールでティーマークがいくつもあって距離がきちんと分かれているので、自分に適した距離から打たれるといいと思います。例えば、自分の飛距離が230ヤード平均なのか、200ヤード平均なのか、女性の方だったら170ヤード平均なのか、それをしっかり把握してティーの位置を選ばれるとよいです。また、ティーをバック、フロントと固定するではなくホールのピンポジションによっては1つ前のティーを選ぶとか柔軟にやると面白いと思います。
▼距離さえ合わせれば、プロでもあらゆる技術が要求される静ヒルズならではの面白さをアマチュアでも体感できるのですね
そうです。ショートアイアンでもこれだけ難しいとか、7番アイアンで打ってちょっとグリーンからこぼれただけでこうなったとか、各ホールの要求していることとか特徴がつかめると思います。無理にハードルが高いところのティー位置を使用しない方がよいですね。
コースだけでなく練習環境が素晴らしく
将来の有望選手を生み出す環境を備えている
▼最後の質問ですが静ヒルズの練習施設の感想を聞かせていただけますか?
完璧だと思います!私もこのオフに教えている選手を連れて2人で3日間お邪魔しました。その中の1日はラウンドをせずに、アプローチとパッティングだけ練習しました。
パッティンググリーンは非常に大きく、なかなかロングパットの距離感をつかむような練習ができるグリーンも少ないので、時間をかけて練習しました。今日も朝から何人もプロ、研修生、学生が練習をしているのを見ましたが、練習環境が本当に素晴らしいですよね。中嶋常幸さんのヒルズゴルフトミーアカデミーもあり、ジュニアに理解があるコースだと思います。
これだけゆったりしっかり練習をできるところは少ないので、ほんとに合宿とかには向いていますし、適しています。冬に海外に行かなくても、特に最近の日本はちょっと暖かくなってきていますから、十分に練習ができると思います。
▼アプローチ練習場はグリーンが3面あって、バンカーもあります。傾斜もあるので様々なライから練習ができますが、選手にとっては練習がしやすいですか?
そうですね。砲台グリーンに向かってのちょっと上げるようなスピン入れるようなそんなアプローチもたくさんできますよね。
▼ドライビングレンジは280ヤードでしかもフラットです
試合の時には芝の上からも打たしていただけるので、そういうところも大きいですし、ほんとに練習環境というところではパーフェクトだと思います。
手前は広々とした練習グリーン。奥はアプローチ練習場