中嶋の想い
世界で勝てる選手の育成とともに
強さと優しさを持ったゴルファーを育てたい!
設立3年目に蛭田みな美選手が日本女子アマで優勝。
そして5年目には畑岡奈紗選手がアマチュアとして日本女子オープンに優勝するなど世界での活躍が期待される選手が育ってきているヒルズゴルフトミーアカデミー。今までの評価と今後の展開について中嶋常幸プロに聞いた。
選手が育ってくれているのは嬉しい。
ただ、海外ツアー優勝の目標からみると現在の状況は道半ば
― 2012年にトミーアカデミーが立ち上がって5年以上が経過しました。
ゴルフ場の設計監修を受けて、ゴルフ場を改造しながら森ビル前社長の森稔さんと「こういう素晴らしいフィールドで子供たちを育てられたらいいですね」という話をしていたことが現実に動き始めて、第1期生募集をしたらたくさんの反応があって、その中から畑岡奈紗や蛭田みな美など、育ってきた選手がいるっていうのは本当に嬉しいですね。
― 設立当初、10年以内に海外ツアーで勝つような選手を育てたいとおっしゃっていました。まだ途中段階ですが、5年で日本女子オープンに勝つ選手(畑岡奈紗)が出てきました。
普通のツアーじゃなくて、日本女子オープンに勝っちゃったからね。
本当に10年以内に海外ツアーで勝つ選手が出てくるんじゃないかっていう期待は当然持てますね。逆にいうと、それは自分たちスタッフとか教える側にとってはいい意味でプレッシャーになっています。僕たちの頑張りにかかっているなという気がしています。
― 日本女子オープンに勝った畑岡選手の強さは何ですか?
畑岡の優秀なところというのは教えたことを、必ず2倍、3倍にしてくる能力がある。要するに咀嚼する能力が高いんです。それから素直さもあって、さらに試合中はゲームに夢中になってしまうと教えたことを忘れてしまう子もいるんですが、思い出す能力もある。そこが優れているところですね。畑岡選手に続く選手もどんどん出てきていますよ。
― 6月には第4期生の選考テストが実施されます。
選考テストをするたびに思うんだけど、新しい伸びそうな原石に出会えることがテストをやっている時の楽しみですね。
― 原石を発見するにはどのあたりを見られているのですか?
言葉で表現するのは難しいですが、一つはクラブを振る時の動作のセンス、それからトレーニングやあらゆる動きに対しての所作。なんていうか、運動能力っていうのかな。ものを動かす、体を動かす、そのセンスですね。
― プロのツアーでも活躍できる選手が生徒としても増えて来ていますね。
長野未祈(2016年日本女子オープン10位タイ)、山口すず夏(2015年全米女子オープン出場)など、優秀な選手はいますよ。だけど、僕からすればまだその程度。一番最初に言ったように、最終的には海外のツアーで活躍できる、優勝できる選手になってほしいわけだから。確かに優秀ではあるし、そういう片鱗も見せるけど、まだ道半ばです。
「本物を見ることは理屈抜きに重要。
強さと優しさを兼ね備えたたくましいゴルファーを育てたい」
― 生徒をマスターズに連れて行ったり、合宿に松山英樹プロを呼んだりして、本物を見せることも常に行っていますが、その意味と効果について教えてください。
学ぶという語源は真似るなんですよ。真似るというのは見ないと真似られない。だからやっぱり目が一番優秀な学習器官なんです。だからいいもの、本物を見せるということはやっぱり理屈抜きに必要。海外のすごい選手が300ヤードをこんな風にキャリーで打ってくるんだぞとか5番アイアンでこんな高さを打つんだぞといくら言葉で説明しても真似られない。もしマスターズで本当の弾道を見ていれば、想像じゃなくてすぐに思い出せる。やっぱり目で見るということが大事なんです。だからオーガスタに連れていって、自分で感じろと、世界の一流選手を見てみろと。子供たちにとっては新鮮な衝撃ですね。
― 設立当初から10年以内に海外ツアー優勝とおっしゃってますが、今後もトミーアカデミーの目標は同じですか?
これは僕の心の中の方針なんだけど、強いだけの子を育てたいとは思わないです。強さと優しさという両方を持ったゴルファーが増えてくれればいいなあと。その中で勝てる選手が出てくるのが一番いいと思うし、トミーアカデミーに入って優勝できた生徒以外はみんな挫折者だという風にはしたくない。トミーアカデミーで勝つ子がでてきました。それはよかったですしハッピーです。ただ、そこまでの成績が出せない子でもやっぱりゴルファーとして強くなって、しかも優しくなって周りからはいいゴルファーだねって言われる、そういう人材を育てたいですね。
― 昨年の日本女子オープンでは最終日トップでスタートしながらもスコアを落とした長野未祈選手が、最後まで清々しく礼儀正しくプレーして多くの記者から絶賛されていました。
腹の中は煮えくりかえるほど悔しかったと思うけど、それを微塵も見せることなくあの18ホールを回った。特に後半のプレーぶりは、トミーアカデミーが育てたというよりも彼女自身がもともと持っているものですね。でもああいう子がもっともっと増えてくるっていうのが、一番僕が望んでいるところ。たくましい子ですね、要するに。優しさを持ったたくましい子を育てたいです。
― 最後に改めて目標をお聞かせください。
世界で勝てる選手の育成です。それは変わらないです。